VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)入門:ルータの冗長化で通信の停止を防ぐ

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VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)入門:ルータの冗長化で通信の停止を防ぐ

どうも!リョクちゃです。

ネットワークの可用性を高める重要な技術の一つが VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol) です。 複数のルータをまとめて1つの仮想ルータとして見せることで、 ゲートウェイの冗長化 を実現します。


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VRRPとは?

VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)は、複数のルータを冗長化して「1つの仮想IPアドレス」を利用できるようにするプロトコルです。 PCやサーバからは単一のデフォルトゲートウェイに見えるため、障害発生時でも通信断を防ぎやすくなります。

  • 標準化:IETF RFC 5798
  • 動作層:L3(ネットワーク層)

仕組み

  1. マスター(Master) 仮想IPアドレスを実際に引き受け、通信を転送するルータ。
  2. バックアップ(Backup) 待機系のルータ。マスターがダウンした場合、自動的に引き継ぎ。

  3. 優先度(Priority) 数値(1~254)でどのルータを優先的にマスターにするかを決定。デフォルトは100。


実務例

  • コアルータの冗長化 社内ネットワークで、デフォルトゲートウェイとなるルータを二重化。

  • データセンター接続 上位回線への出口を複数化して障害に強い構成を作る。


トラブル例と対策

  • 優先度設定のミス 本来メインにしたいルータの優先度が低いと、バックアップ側がマスターになってしまう。 → Priority設定を確認。

  • 同一VRIDの重複 複数のVRRPグループが同じVRIDを使用すると競合する。 → VRIDの重複を避ける。

  • マルチベンダー環境の不具合 Ciscoと他社機器を混在させる場合、微妙な実装差で切り替わらないことがある。 → テストを十分に行う。


コマンド例(Cisco IOS)


まとめ

  • VRRPは デフォルトゲートウェイの冗長化 に必須
  • マスターとバックアップの切り替えで通信停止を防ぐ
  • PriorityやVRIDの設定ミスが障害の原因になりやすい

補足:動作イメージ

動作イメージ
👉 次回は、より高度な信頼性と負荷分散を実現する「HSRP/FHRPの比較」や設計のベストプラクティスを紹介します。

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