高度なネットワーク冗長化設計入門:STP+リンクアグリゲーション+VRRPで止まらないネットワークを作る

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高度なネットワーク冗長化設計入門:STP+リンクアグリゲーション+VRRPで止まらないネットワークを作る

どうも!リョクちゃです。

これまで学んだ STP(ループ防止)リンクアグリゲーション(帯域とL2冗長)VRRP(ゲートウェイ冗長) を組み合わせることで、より実用的で強固なネットワークを設計できます。
本記事では、L2・L3を跨いだ冗長化設計の基本と、実務で注意すべきポイントを解説します。


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なぜ複合的な冗長設計が必要か

単一の冗長技術では、以下のような課題が残ります。

  • STPだけ → 帯域が使い切れず片系が待機状態になる
  • LAGだけ → ゲートウェイ機能が単一機器に依存する
  • VRRPだけ → L2のループや単一リンク障害に弱い

これらを組み合わせることで、 停止リスクを最小化しつつ帯域を最大活用できます。


設計の基本パターン

1. アクセス層(L2)での冗長化

  • リンクアグリゲーション(LAG / EtherChannel) でスイッチ間を束ねて帯域を拡張
  • STPのRootブリッジを意図的に決定し、予期しない経路の変化を防止
ChatGPT Image 2025年10月4日 18_03_00

👉 Rootブリッジをコアルータ側に設定するのがベストプラクティス。


2. コア層(L3)での冗長化

  • VRRP / HSRP を利用し、デフォルトゲートウェイを冗長化
  • 各VLANごとにVRRPグループを作り、Active/Standbyを振り分けることでトラフィックを分散可能

例:

  • VLAN10 → CoreSW1をMaster
  • VLAN20 → CoreSW2をMaster

実務でのベストプラクティス

  • RootブリッジとVRRP Masterの整合性
    STPのRootとVRRPのMasterは同じスイッチにすると経路が安定。
  • LACPを利用した安全なリンク集約
    静的設定よりもLACP推奨。リンク異常検知と自動除外が効く。

  • テスト環境で障害シナリオを確認
    ケーブル抜きテストやMasterダウンテストを事前に実施。

  • 監視とログ収集を導入
    show spanning-tree, show etherchannel summary, show vrrp などを監視で活用。


トラブル例と対策

トラブル例 原因 対策
意図しないRootブリッジの切り替わり Priority未設定 コア側に低いBridge Priorityを設定
VRRP切り替わり後の帯域不均衡 VLANごとのMaster設計不足 VLANごとにActive/Standbyを分散
LAG片系障害で通信不安定 LACP未使用 LACP設定を使用し異常リンクを自動切り離し

まとめ

  • L2(STP+LAG)とL3(VRRP)を組み合わせることで、高可用性かつ高効率なネットワークが構築できる
  • RootブリッジとVRRP Masterの整合性を取ることが設計の要
  • 障害発生時の動作をテストすることで実運用に強いネットワークを実現

👉 次回は、より実務寄りの「障害シナリオと切り分けの実践」へ進みます。

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